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釧路地方裁判所北見支部 昭和44年(わ)17号 判決 1969年8月01日

主たる事務所の所在地

常呂郡置戸町字置戸二三六番地

北農木材工業株式会社

右代表取締役

常包徳太郎

本籍

常呂郡佐呂間町字仁倉四五五番地

住居

同郡置戸町字置戸二三六番地

会社役員

常包徳太郎

大正四年八月二四日生

右の者等に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官黒崎兼作出席の上審理して次のとおり判決する。

主文

被告人常包徳太郎を懲役六月に処する。

但し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

被告人北農木材工業株式会社を罰金四〇〇万円に処する。

訴訟費用は全部被告人等の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、常呂郡置戸町字置戸二三六番地に主たる事務所を置き、素材の生産、販売業などを目的とする資本金三、五〇〇万円(昭和三四年四月二三日七五〇万円に、昭和三六年七月三日九五〇万円に、昭和三八年七月二日一、三二〇万円に、昭和三九年五月二一日二、〇〇〇万円に、昭和四〇年五月二六日二、四〇〇万円に、昭和四一年五月二一日二、六四〇万円に、昭和四二年五月一九日二、九〇五万円に順次増資したもの)の株式会社であり、被告人常包徳太郎は右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括している者であるが、被告人常包は被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて架空仕入れを計上するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四〇年四月一日より昭和四一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二九、六九六、二七〇円あつたのにかかわらず、昭和四一年五月三一日北見市青葉町一三番地所在の所轄北見税務署において同税務署長に対し、所得金額および法人税額がいずれもない旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額である一〇、三九五、二〇〇円につき法人税を逋脱し

第二、昭和四一年四月一日より昭和四二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三二、五四五、〇八四円あつたのにかかわらず、昭和四二年五月三〇日前記所轄北見税務署において、同税務署長に対し所得金額が七、四八九、五一〇円であり、これに対する法人税額が一、七九五、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一〇、五三五、五〇〇円と右申告税額との差額八、七四〇、一〇〇円につき法人税を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一、被告人常包徳太郎の検察官に対する各供述調書

二、同人の当公廷における供述

三、中村美弘の検察官に対する各供述調書

四、大蔵事務官作成の告発書

五、押収にかかる証第一号、六号、一〇号、一四号、一七号、一八号、二二号の各物件

判示第一事実について

一、押収にかかる証第二号、四号、五号、八号、九号、一一号、一九号、二一号、二五号ないし二七号の各物件

判示第二事実について

一、押収にかかる証第三号、七号、一二号、一五号、一六号、二〇号、二三号、二四号の各物件

(法令の適用)

法律によると、被告人常包の判示各所為はいずれも法人税法一五九条、七四条一項二号に該当するので所定刑中懲役刑を選択し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、なお情状により同法二五条一項を適用して本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。被告会社に対しては法人税法一六四条一項、一五九条、七四条一項二号、刑法四五条前段、四八条二項により所定罰金の合算額の範囲内において同会社を罰金四〇〇万円に処する。訴訟費用の負担については刑訴法一八一条一項本文により全部被告人等に負担させる。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 栗田鉄太郎)

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